当院透析室は、透析可能床数10床(1床個室)で、外来維持透析患者様をはじめとし入院透析患者様にも対応しております。
医師・看護師・臨床工学技士が”TEAM 透析”として患者様が“安心”“安全”に透析医療が受けられる様に努めています。
血液中に溜まった水分や老廃物を取り除き、電解質バランスを整え、きれいになった血液を再び体内に戻す腎代替療法をいいます。
血液透析に要する時間は1回4~5時間、週3日が基本となります。
透析患者様の、治療の流れをご紹介いたします。
一日の流れは来院したら
更衣室にて、透析治療を受けやすい衣服に着替えて頂きます。
体重を測定いたします。
ベッドに移動し血圧・体温・脈拍を測定し、その日の体調を尋ねます。
透析を行うために穿刺をして透析治療が始まります。
透析中は記載の検査(フットチェック・運動療法)や、TVを見て過ごします。
透析時間が終了したら返血を致します。
体重を測定いたします。最終除水量の確認をします。
更衣室にて着替えていただきご帰宅となります。
何らかの原因で入院を余儀なくされた透析患者様にも対応いたします。
透析をするために他の透析施設への移動をすることなく、院内で完結できます。
外光の入る施設内で、明るいスタッフがアットホームな雰囲気で、とかく暗くなりがちな治療環境を明るく照らします。気軽に医療相談ができる環境を提供しています。また、ほとんどの患者様が長く感じる治療時間を、リラックスできるよう配慮しています。治療床10床のためすべての患者様に行き届いた目配りができる環境に努めています。
HDFは、通常の血液透析では除去しきれない老廃物を除去することができます。
長期透析患者様の合併症である関節痛や、手指の痺れや痛み・痒みなどの予防と改善が期待されています。
また、低血圧による透析困難症に効果が期待されている「間歇補充型血液透析濾過(I-HDF)」も取り入れており、患者様の状態に合わせた治療を選択しています。
当院では、通常の血液透析以外にも患者様の病態に合わせて、特殊血液浄化療法も実施しています。
シャントとは、透析を行うのに必要なもので手術によって、透析に必要な血液を取り出せるようにしたものです。シャントは、時間が経つにつれてさまざまなトラブル(合併症)が生じることがあります。合併症としては血管の内部が狭くなり、血液が流れにくくなる“狭窄”がもっとも多く、そのほかに手指や腕の腫れ、瘤、感染などがあります。
これら合併症の状態やトラブルを未然に防ぐために、超音波診断装置(エコー)を使ってのシャントエコー検査を定期的に臨床工学技士が行っております。
当院では、リハビリテーション課と共同で透析中運動療法を実施しています。透析を続けていると、フレイルサルコペニアになりやすく、運動はとても重要になります。
特に透析患者様にとっては、「体力を維持すること」「運動を継続すること」は生命予後(元気で長生きすること)を大きく改善させることが期待されています。足の筋肉がつけば転倒しにくくなり、日常生活も楽に過ごせるようになります。
また、透析中の運動は、透析中の血液循環が高まり「透析の質」が向上することも期待されています。
近年、高齢者や糖尿病患者の増加などを背景に、末梢動脈疾患や末梢神経障害、感染症など透析患者様の足病変の合併が多くなっております。透析患者様は様々なハイリスク要因(靴擦れや爪切で生じた小さな傷や魚の目、胼胝(タコ))を抱えており、健常人と比べた際に驚くほど急激に重症化し、時には下肢切断に至ってしまうこともあります。
こういった最悪の事態を避けるため、当院では看護師による定期的なフットチェックに加え、下肢に血行障害を来たす閉塞性動脈硬化症(ASO)の指標である下肢・上腕血圧比(ABI)を、すべての透析患者さんに定期的に実施しています。
透析患者様は、動脈硬化や骨折・血管障害等のリスクもあるためさまざまな検査を定期的に実施しています。
検査で、異常が見られた際には近隣病院と連携し治療を行っています。
〜連携施設〜
透析技術に求められる知識向上、自己研鑽を目的に、各種学会、研究会、技士会へ参加しています。
演題名 | 学会名 | 学会開催日 | 開催地 |
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シャントマッサージによるシャントトラブル防止の有効性について
〜シャントトラブルスコア(STS)をもとに〜 | 第24回東海青年医会 | 2022年7月24日(日) | 名古屋国際会議場 |
CLTI治療における当院でのレオカーナ使用経験 | 第2回関東甲信越臨床工学会
および第5回神奈川県臨床工学会 | 2022年11月13日(日) | パシフィコ横浜 |
デジタルデバイスを取り入れたME機器管理について | 第33回埼玉臨床工学会および総会 | 2023年6月4日(日) | 大宮ソニックシティ |
透析中運動療法が患者に及ぼす身体的・精神的効果
〜今後の継続に向けた課題の検討〜 | 第69回日本透析医学会学術集会・総会 | 2024年6月7日(金)〜2024年6月9日(日) | パシフィコ横浜 |
2症例から得られた透析中運動療法の効果と継続に向けた課題 | 第26回東海青年医会 | 2024年7月28日(日) | 名古屋国際会議場 |
※透析室スタッフには専門の国家資格を持った臨床工学技士が常駐しています。
臨床工学技士は、血液透析などの生命維持管理装置の操作や保守点検・修理を生業としている専門技術スタッフです。
透析業務のほかには以下の様な業務を行い、医療に関する『安心・安全』を提供しています。
透析を行うための穿刺をはじめ、透析に関わる業務全般を実施しています。
シャントエコー検査や透析装置の定期点検や透析液の水質管理を行い、患者様に安心・安全な透析を受けて頂けるよう日々努めています。
病棟において人工呼吸器の使用が開始される際に、医師の指示にて条件の設定や、設置を行い、正確な条件設定を行います。また、附随する機器に関しても適切な設定ングを行います。
院内で使用される輸液ポンプ・シリンジポンプ・ベッドサイドモニタ・人工呼吸器などの様々な医療機器(ME機器)を、安心かつ安全に機器が使用できるように保守点検を実施しています。
また、病院職員への医療機器の適切な使用方法の勉強会も定期的に行なっています。
手術室には手術を行うために多くの医療機器(ME機器)が存在します。
日々行われる手術が滞りなく行える様に臨床工学技士が定期的に巡回し機器を点検しています。不具合があった場合には迅速な対応ができるようにしています。